自酔論

お酒と雑記

アイデンティティ

 

 

14歳からなりたかったグラフィックデザイナーという『肩書き』がついた。やりたかったバンドのアートワークもたくさんやった。19歳から客席から羨望の眼差しで見ていただけのアーティストにも会えた。血反吐を吐かなくても毎月口座にはお金が振り込まれるようになった。自分の稼いだお金でタクシーに乗ったり、新幹線で遠くまで行けるようになった。ありがたいことにSPICEを通じて色々お仕事をもらったりもできている。

 

ふと気づけば全て願っていたことで、全て叶っていたけどそれらは全て『日常』と化しており、ここ数年燃えカスのような生活を送っていた。

 

そんななんでもない日常が尊いのなんか十二分にわかっている。贅沢よ!まだ若いんだから!なんてクソバイスはもう死ぬほど聞いた。文字通り血反吐を吐いて死ぬほど頑張ったという自信はあるけど、文字通り達成したとて死ぬわけじゃないんだしこうして生きてるわけで生きてる前提でまたやりたいことを見つけたいだけなのに何も無かった。上がることも落ちることもない。

 

幼少期に変に習い事をたくさんしていたせいか、何を見ても興味が湧かないし、何をしても続かない。過去の自分のSNSやブログを発見し目標に向かって進んでいた頃の自分に絶望し、お酒を浴びる日々だけが続いていた。

 

行きつけの飲み屋に行っては「なんか趣味欲しいんだよね」とこぼし「あれは?これは?」とアドバイスしてくれる店主に対して怪訝な顔をする。完全にめんどくさい客だ。

 

ああ、このまま私は歌謡曲が流れるお世辞にもオシャレとも綺麗とも言えない店で、お世辞にも上手いとも言えないおっちゃんたちの歌を聴きながら、焼酎のソーダ割を飲む生活を死ぬまでするのだろうかと何もかも面倒になっていたのだけど、ふと気づいたことがあった。好きで続いていること、あるじゃん。「お酒」じゃん。「お酒を飲みながら人と話すこと」じゃん。

 

めちゃくちゃくだらないと思いつつ、自分の中では目から鱗ものだったし、めちゃくちゃ笑いがこみ上げてきたと同時に酷くワクワクしていた。完全に危ないやつだったと思う。「女が一人で酒飲んでるなんてみっともない」「毎日飲むやつなんて普通じゃない」「体に悪い」「酒にお金つぎ込むなんてくだらない」勝手にお酒を飲むということを害悪にしていたのは自分だということに気づいた。

 

もともと演劇の脚本家になりたかった私は、毎日狂ったようにルーズリーフに文章を書き込み寝食を忘れて没頭していた。なのに今となっては手帳に書いていた日記も、軽いブログも全然続かなくなってしまっていた。それも「面白い文章を書かなければ」という謎の強迫観念があったのかもしれない。

 

来年30歳になるという節目の時にそういう凝り固まった概念を捨てるのもアリなのではないか。完全に母親が見たら卒倒しそうなブログが始まろうとしているが、仕方ない、好きなんだもん。クセの強い店主も常連客も、どうやってお客さん呼んでるかわからんくらいの狭くて汚い店も、強烈に濃い焼酎をありえない値段で出すお店も好きなんだから仕方ない。

 

 

(かと言って、いつ誰と飲みました~なんぞツイッターにでも書いとけとなるので少しでもお店の利益になるようにちゃんと紹介という形で綴っていこうと思う。)

 

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